伊藤潤二

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  • 2019.03.20

溶解教室

2013年初出 伊藤潤二秋田書店少年チャンピオンコミックスエキストラもっと! 一話完結形式の連作長編で、どっちかというとホラーギャグ。 作者の場合、長編というだけで一抹の不安がよぎったりもするんですが、胸騒ぎは悪い意味で裏切りませんでしたね。 土下座をすることで相手を溶かしてしまう兄と、溶けた人間が大好物な妹が周りの人間を次々と犠牲にしていく物語なんですが、まあ、単純に長編向きのネタじゃないな、と […]

  • 2019.03.20

魔の断片

初出 2009~2014 伊藤潤二朝日新聞出版社NEMUKIコミックス <収録短編>布団木造の怪富夫・赤いハイネック緩やかな別れ解剖ちゃん黒い鳥七癖曲美耳擦りする女 新・闇の声潰談以来、8年ぶりとなるホラー短編集。 才能というのは枯渇していくものなのだ、という誰もが認めたくはない現実をそのままさらけ出してしまったかのような一冊だと思います。 ホラーの体裁はちゃんと整えられてます。 でもこれは伊藤潤 […]

  • 2019.03.17

伊藤潤二の猫日記 よん&むー

2008年初出 伊藤潤二講談社ワイドKC いわゆる猫マンガは一定のファンがついているから、誰であれある程度の数字は予測できる固いジャンルかと思うんですが、まさか伊藤潤二がこの分野に参入してくるとは夢にも思わなかった。 講談社の編集は目の付け所が凄いというか、とんでもないというか。 まあ当然普通の猫マンガになるはずもなく。 おもしろいな、と思ったのは作者の視線が猫好きのそれでなく、猫好きの奥様に巻き […]

  • 2019.03.17

ブラックパラドクス

2007年初出 伊藤潤二小学館ビッグコミックススペシャル やっぱり伊藤潤二の長編はどこか冴えない、と改めて実感した一作。 アイディアは悪くない、と思うんです。 臨死体験を経て、死後の世界を行き来出来るようになった男が、あの世から持ち帰った石で世間の注目を集める、という序盤の滑り出しは後の展開を予想させないものがありましたしね。 あの世の石とは一体何なのか。 光り輝き、ダイヤより固く、刺激を与えると […]

  • 2019.03.16

潰談 新・闇の声

2004年初出 伊藤潤二朝日ソノラマ眠れぬ夜の奇妙な話コミックス <収録短編>双一前線双一の愛玩動物合鏡谷にて幽霊になりたくない蔵書幻影闇の絶唱潰談 独特のアイディアが光るのは「幽霊になりたくない」「潰談」の2篇。 前者は、霊が見える、というありふれたネタからあらぬ方向への跳躍ぶりが素晴らしい。 あえて、そのものを描かない、としたことがヒロインの異常性を際立たせててお見事の一言。 後者はほとんどS […]

  • 2019.03.16

闇の声

2002年初出 伊藤潤二朝日ソノラマ眠れぬ夜の奇妙な話コミックス <収録短編>血をすする闇ゴールデンタイムの幽霊轟音お化け屋敷の謎グリセリド地縛者死刑囚の呼び鈴 やはり突出しているのは「グリセリド」か。 焼肉屋と油で、よくもまあこんな話が思いつくものだと思います。 大抵のホラーには免疫のある私のようなオッサンですら、生理的な嫌悪感で震えあがるワンシーンがあるのも特筆に値するかと。 「お化け屋敷の謎 […]

  • 2019.03.12

ミミの怪談

2002年初出 伊藤潤二/木原浩勝、中山市朗メディアファクトリーMFコミックス <収録短編>隣の女草音墓相海岸ふたりぼっち朱の円 現代百物語「新耳袋」を底本とし、ミミと言う名の少女が体験する連作怪異譚として改変、漫画化された短編集。 新耳袋は私も好きなんで全部読んでますが、もう言われなきゃわからないぐらいまるで別物に生まれ変わってます。 ゆるぐことなく伊藤潤二。 原作があってすら、ここまで各話を自 […]

  • 2019.03.11

地獄星レミナ

2004年初出 伊藤潤二小学館ビッグコミックス 天才伊藤潤二がものの見事に足を滑らせて派手にすっ転んだ一作、と私は認識。 巨大な遊星が地球に接近衝突する恐怖を描いた作品なんですが、何が失敗してるって、題材は間違いなくSFなのに、それを徹頭徹尾ホラーの文脈で語ってしまったことでしょうね。 これね、ホラーが包括するSF風味だったらまだ良かったんですよ。 そのあたり、作者の最も得意とするところですし、き […]

  • 2019.03.10

ギョ

2002年初版 伊藤潤二小学館ビッグスピリッツコミックス 全2巻 もうタイトルからして紙一重です。 笑わせたいのか、って話だったりするんですが、内容自体はタイトルにそぐわずカタストロフを描いた怪奇SFだったりするので、そのギャップになにやら戸惑わされたりも。 しかしまあ飛ばしてます。 なんせ海洋生物が腐敗ガスによって動く謎の歩行器で地上に上陸してくる物語ですから。 もうここまで来ると奇想だとか規格 […]

  • 2019.03.08

うずまき

1998年初出 伊藤潤二小学館スピリッツ怪奇コミックス 全3巻 伊藤潤二はどちらかと言えば短編作家ではないか、と私は思ってるんですが、そんな作者の長編唯一の成功例がこの作品ではないか、と。 「うずまき」をテーマに連作する、と言う形を取ったことも幸いしたのかもしれませんが、ちゃんとストーリーが出来事とともに推移していって、最後には収束していることにかなり驚かされましたね。 いやね、伊藤潤二って、どう […]

  • 2019.03.08

富江 again(part3)

1999年初出 伊藤潤二朝日ソノラマ眠れぬ夜の奇妙な話コミックス なんでタイトルが富江part3になってるのか当時は困惑したんですが、おそらく、最初に単行本化されたハロウィン少女コミック館を底本として再編集された、伊藤潤二マンガコレクション全16巻が「富江」「富江part2」のタイトルで発刊されたから、なんでしょうね。 昔から作者を追ってるファンとしちゃあ、思わず1と2を探しそうになってしまうわけ […]

  • 2019.03.06

トンネル奇譚

1997年初出 伊藤潤二朝日ソノラマ眠れぬ夜の奇妙な話コミックス <収録短編>長い夢トンネル奇譚銅像浮遊物白砂村血譚 さて今回も絶好調、伊藤潤二。 収録されている5編、どれも甲乙つけがたい出来でハズレ無し。 個人的に一番気に入ったのは、日に日に見る夢が長くなる男を描いた「長い夢」。 普通に眠っているだけなのに、夢の中では数百年、数千年が経過していて、それはやがて永遠の夢に至る、という発想がもう、こ […]

  • 2019.03.06

怪奇カンヅメ

1993~96年初出 伊藤潤二朝日ソノラマ眠れぬ夜の奇妙な話コミックス <収録短編>仲間の家なめくじ少女隣の窓漂着物ご先祖様異常接近怪奇ひきずり兄弟◎次女の恋人怪奇ひきずり兄弟◎降霊会 これまた名作目白押しの短編集。 どれも甲乙つけがたい感じですが、傑出してるのはやはり「なめくじ少女」でしょうね。 舌がなめくじになってしまう、などというアイディアがいったいどうすれば湧いてくるのか、ほんと作者の頭の […]

  • 2019.03.06

死びとの恋わずらい

1997年初出 伊藤潤二朝日ソノラマ眠れぬ夜の奇妙な話コミックス 作者の著作の中でも数少ない長編。 街の四つ辻に忽然と現れる黒服の美少年に、近隣在住の少女たちが根こそぎ狂わされていく話ですが、ちょっと何を描きたかったのかよくわからない、ってのはあります。 四つ辻の少年を悪意の偶像として西洋風な悪魔奇譚に仕立て上げたかったのか、それとも単に作者流の都市伝説がやりたかったのか。 「何」で怖がらせようと […]

  • 2019.03.05

画家

1995年初出 伊藤潤二朝日ソノラマハロウィン少女コミック館 <収録短編>画家暗殺毛髪養女滝壺 1冊まるごと富江シリーズのみ収録。 どの短編も甲乙つけがたい出来なんですが、着想なら「毛髪」、絵ヅラなら「滝壺」といったところでしょうか。 以前にも書きましたがもう富江、地球外から飛来した寄生生物クラスに強靭な生命力と繁殖力、感染力を誇ってます。 死ななないわ、分裂するわで向かうところ敵なし。 その美貌 […]

  • 2019.03.05

棺桶

1995年初出 伊藤潤二朝日ソノラマハロウィン少女コミック館 <収録短編>双一の勝手な呪い四重壁の部屋棺桶噂 1冊まるごと双一シリーズのみ収録。 しかしまあ継続は力なり、というか、ここまで続くと奇妙な味が出てくる、というか、あんまり好きなシリーズじゃないことは以前にも書いたかと思うんですが、それでも「悪くないな」と思える域にまでホラーギャグなりに達してきているような気はします。 元々双一がお好きな […]

  • 2019.03.04

サイレンの村

1990~92年初出 伊藤潤二朝日ソノラマ眠れぬ夜の奇妙な話コミックス <収録短編>サイレンの村煙草会黴記憶道のない街 名編目白押しの一冊。 閉ざされた日本の田舎町に西洋的な魔神を放り込む、という荒業をやってのけた表題作「サイレンの村」でまずは心臓をわしづかみ。 悪魔を題材にした一連の海外ホラーにも肉薄するおぞましい出来で、こういうものも描けたのか、とうれしい驚きでしたね。 黙示録的な黒々しさがあ […]

  • 2019.03.03

墓標の町

1993~94初出 伊藤潤二朝日ソノラマハロウィン少女コミック館 <収録短編>肉色の怪墓標の町許しアイスクリームバス なんといっても出色なのはやはり表題作「墓標の町」。 息を引き取った人がその場で石柱化を始め、やがては完全な墓標となる町での怪異を描いた一遍なんですが、もちろんそんな町なんてあろうはずがないですし、人が石柱化なんてするわけがないのはわかりきってるはずのに、読み進める内にどこか辺境の村 […]

  • 2019.03.03

首吊り気球

1993~94年初出 伊藤潤二朝日ソノラマハロウィン少女コミック館 <収録短編>血玉樹首吊り気球あやつり屋敷 初読時、あまりの奇想とおぞましさに強烈な衝撃をうけたのが表題作「首吊り気球」。 一体何をきっかけにすれば、首を吊ろうと襲って来る気球の話なんて思いつくのか、もう本当にド肝を抜かれましたね。 ひょっとするとこの短編が伊藤潤二の最高傑作ではないか、と今でも密かに思ってたりします。 パニックホラ […]

  • 2019.03.03

うめく排水管

1993年初出 伊藤潤二朝日ソノラマハロウィン少女コミック館 <収録短編>超自然転校生うめく排水管双一の誕生日富江・復讐 「超自然転校生」も悪くはないんですが、やはり表題作「うめく排水管」につきるでしょうね。 排水管にストーカーが潜む、ってどこのデタラメなSFなんだよ、って話なんですが、これがちゃんとホラーとして成立してるんだからホント恐れ入る。 潔癖症な一家を素材としたのもうまい。 対比がいやら […]

  • 2019.03.02

布製教師

1992年初出 伊藤潤二朝日ソノラマハロウィン少女コミック館 <収録短編>落下相部屋旅館布製教師押切異談・壁 双一シリーズが表題作で一遍収録。 あんまり好きじゃないシリーズであることは以前にも書いたんですが、今回に限っては着想が結構ぶっ飛んでて意外と悪くない。 なんせ教師が次々と綿の詰まった等身大の人形にすり変わっていく話なんですよ。 本当になにをどうすればこんなこと考えつくんだ、とつくづく思う。 […]

  • 2019.03.02

路地裏

1992年初出 伊藤潤二朝日ソノラマハロウィン少女コミック館 <収録短編>遺書路地裏押切異談ファッションモデル双一の楽しい日記双一の家庭訪問 押切異談シリーズが1篇と、双一シリーズが2編収録。 双一シリーズは以前書いたようにあんまり好みじゃないんで特に言及することもなし。 押切シリーズは異次元をテーマにパラレルなストーリーが前話から続いてる感じですが、作者が描くと異次元がなんでこんなに気味悪くなる […]

  • 2019.03.01

楽しい夏休み

1991初出 伊藤潤二朝日ソノラマハロウィン少女コミック館 <収録短編>楽しい夏休み薄命侵入者寒気案山子楽しい冬休み 作者の作風においてもうひとつの機軸といえるホラーギャグ路線の作品「双一シリーズ」が初収録。 ただ、個人的には伊藤潤二のホラーギャグって、私はあんまり好きじゃないんですね。 そもそもが笑いと紙一重な部分も包含してるのが伊藤潤二のホラーだから。 そこは楳図かずおの「アゲイン」や「まこと […]

  • 2019.02.28

首のない彫刻

1991年初出 伊藤潤二朝日ソノラマハロウィン少女コミック館 <収録短編>ペンフレンド橋サーカスが来た蜂の巣地図の町首のない彫刻 なんかもう、この世の風景と思えん、と初読時震え上がったのが「橋」。 山奥の集落にのみ伝わる特異な祭祀の話、と思わせておいて、いざ読み終わってみればただ忌まわしく昏い悪夢でしかないという異想の名品。 「蜂の巣」の気味悪さも尋常じゃなし。 蜂の巣の中にあのようなものを入れて […]