90年代

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  • 2020.02.01

ピンポン

1996年初出 松本大洋小学館ビッグコミックスピリッツ 全5巻 松本大洋にしてはケレン味のない普通のスポーツ漫画だと思いますね。 だからこそ映画化やアニメ化につながった、ということなのかもしれませんが。 努力と才能をどういう形で競技に反映させるか?という点において、きちんと先達が築き上げたセオリーを踏んで、ドラマチックさを演出してるのに少し驚かされました。 編集の助言もあったのかもしれませんが、や […]

  • 2020.01.23

チャイルド・プラネット

1996年初出 永福一成/竹熊健太郎小学館ヤングサンデーコミックス 全7巻 大人にだけ感染する致死性の細菌兵器に侵された街で、生き延びる子どもたちの集団を描いたパニックSF。 改めて言及するまでもなく、確信犯的な漂流教室(1972~)のリブートなわけですが、それを踏まえた上で作者は何を描こうとしているのか?が最大の読みどころかと思います。 既視感の強い安っぽさは極力排除されてますね。 胡散臭さや矛 […]

  • 2020.01.19

プラネテス

1999年初出 幸村誠講談社モーニングKC 全4巻 2074年の未来、宇宙空間にてデブリの回収を生業とする宇宙飛行士、ハチマキの見果てぬ夢を描いたSFアドベンチャー。 デブリ回収員を主役に据えるという設定が斬新だし、科学を無視しない宇宙時代の描き方も「ちゃんと勉強してるなあ」と感心させられるものでしたし、のちの星雲賞受賞やアニメ化も納得の一作ではありましたね。 なんといっても画力が高い。 それでい […]

  • 2019.12.29

ドラゴンヘッド

1994年初出 望月峯太郎講談社ヤンマガKC 全10巻 ド級のパニックSF、終末SFながら、全く何も明かされぬまま、あたかも打ち切りを宣告されてしまったかのように終わってしまった悪名高きシリーズ。 当時リアルタイムで読んでいた愛読者は「なんじゃこりゃ」と怒り心頭、ほとんどの人はあきれかえって最終巻を即座に足下へと叩きつけたことと思われます。 私の場合、何か読み落としているのでは?と浅い巻まで遡って […]

  • 2019.12.28

鮫肌男と桃尻女

1993年初出 望月峯太郎ミスターマガジンDX 全1巻 ありゃっ、こういう方向へ行ってしまうの?と少なからず戸惑った作品。 作者はきっとSF/ホラーの方向へ進んでいくに違いない、と勝手に思ってたんで、至極映画的なクライムアクションに舵を切ったのは意外でしたね。 絵柄があんまりマッチしてないのでは・・と思ったりもしたんですが、後に映画化されたことを鑑みるなら、これはこれで読者に受け入れられてたのかも […]

  • 2019.12.28

お茶の間

1991年初出 望月峯太郎講談社ミスターマガジンKC 全3巻 今はなきミスターマガジンに連載されたバタアシ金魚(1985~)の続編。 ヒット作の続編、って人気凋落気味の漫画家が手を染める定番のパターンだと思うんですが、そんなに望月峯太郎、追い詰められてたか?というのが当時の印象。 バイクメ~ン(1989~)は確かにぱっとしなかったですが、それだけで過去の栄光にすがらなきゃならないほど凡庸な描き手じ […]

  • 2019.12.23

座敷女

1993年初出 望月峯太郎講談社ヤンマガKC リング(1998)以降のJホラーブームをあたかも先取りしたかのような傑作ホラーだと思いますね。 まだストーカーという言葉すら一般的でなかった頃に、こういうものを形にしてしまう先見性がとんでもない。 私の場合、世代的に怖い女といえば貞子ではなく、コチラ。 映画も含めて多くのホラーが提供する恐怖の対象といえば、座敷女以前はそのほとんどが男性であり、居てもせ […]

  • 2019.12.10

頑丈人間スパルタカス

1993年初出 安永航一郎徳間書店少年キャプテンコミックススペシャル 全4巻 今はなき月刊少年キャプテンに連載されたドタバタギャグ。 さて、安永航一郎というと、私は県立地球防衛軍(1983~)を思い出すんですけど、本当にこの人は全然変わらんなあ、と。 80年代そのままですね。 というか、ラブコメ路線、学園もの路線で少年漫画の世界に新風を吹き込んだ当時の少年サンデーの匂いが依然色濃く漂ってる感じ。 […]

  • 2019.12.04

青い春

1990年初出 松本大洋小学館ビッグコミックス <収録短編>しあわせなら手をたたこうリボルバー夏でポン!鈴木さんピースファミリーレストランは僕らのパラダイスなのさ!だみだこりゃ 主にビッグコミックスピリッツへ掲載された作品を集めた短編集。 まあ、一言で言うなら他愛ない、でしょうかね。 いわゆる不良学生であったりとか、ドロップアウトしちゃった連中の「なにも起こらない退屈な毎日」をつらつらと綴った感じ […]

  • 2019.11.28

ZERO

1990年初出 松本大洋小学館ビッグコミックスピリッツ 上、下 約10年に渡ってチャンピオンの座を死守し続けるボクサー、五島雅の散り際を描いたボクシング漫画。 やりたかったことはわかるんですけどね、なんだろうなあ、ひどく現実味に欠ける、というのが正直なところですかね。 今でこそ井上尚弥という怪物が存在してるから「無敵」も信憑性を帯びてきましたけど、強さの根拠を「狂気」にだけ求められてもですね、ボク […]

  • 2019.11.17

花男

1991年初出 松本大洋小学館 ビッグコミックス 全3巻 読売ジャイアンツに入団することを夢見る30歳の父親と、そんな父親を虚仮にする現実的で利口な息子を描いたホームドラマ。 じゃりン子チエ(1978~)と似たプロット、と言っていいと思います。 働きもせず、地元の草野球チームでおだてられ、遊び呆ける父親を、大人以上に目端の利く息子がたしなめ、コントロールするという逆転の構図が招くおかしさは、ある種 […]

  • 2019.11.11

鉄コン筋クリート

1993年初出 松本大洋小学館ビッグコミックス 全3巻 架空の街、宝町を舞台に、ヤクザや警察顔負けの大立ち回りを見せる少年二人組、クロとシロを描いたコミック・ノワール。 松本大洋の代表作とも言われ、今も根強い人気を誇る作品ですが、個性的で精緻な作画のインパクトは色褪せないにせよ、内容そのものに関しては、ああ、90年代だなあ、って感じですね。 というか、私は多分、この世界観に「のれてない」んだと思う […]

  • 2019.09.18

銃夢

1991年初出 木城ゆきと集英社ビジネスジャンプコミックス 全9巻 はるか未来の地球、屑鉄の山から偶然発見された少女型サイボーグ、ガリィの失われた過去と階級社会化した世界の秘密に迫るSFアクション。 連載開始当初はそれほど注目してなかった、というのが正直なところですかね。 少女型サイボーグを主人公にして未来譚をつづる、というプロット自体が91年にして手垢なように私は感じてましたし。 石ノ森章太郎を […]

  • 2019.03.31

エンブリヲ

1994年初出 小川幸辰講談社アフタヌーンKC 全3巻 隠れたバイオロジカルホラーの傑作と呼ばれ、後にエンターブレインから新装版も出た一作。 ぶっちゃけ絵はあんまりうまくないです。 正直言うと、あんまり好きになれない絵柄。 ただ、それをも差し置いて、物語の切り口、筋立て、着地点に独特なものがあったことは認めざるを得ないでしょうね。 とりあえず、昆虫に焦点を当てて、生物学的な見地から進化を検証してい […]

  • 2019.03.31

ザ・ワールド・イズ・マイン

1997年初出 新井英樹小学館ヤングサンデーコミックス 全14巻 一部で熱狂的人気を誇る作品。 殺人に対する禁忌が存在しない主人公モンの気ままな殺戮道中と、謎の巨大生物ヒグマドンに町を蹂躙される悪夢を描いたディザスターもの的狂乱劇を掛け合わせたような内容なんですが、全体を通じて作者が問いかけているのは「命とはなにか」みたいな哲学的命題。 爛熟した社会の外側でうごめくアンチモラルな殺人者や、怪獣に踏 […]

  • 2019.03.27

EDEN

1997年初出 遠藤浩輝講談社アフタヌーンKC 全18巻 致死性の高いウイルスの大流行にさらされ、帝国主義的な社会に変貌を遂げた近未来を描くSF大作。 黄金期のアフタヌーンを支えた一作と言ってもいいでしょうね。 当時、第一話を読んで「こりゃちょっとすごい新人が出てきた」と唸らされた記憶があります。 決してこれまでになかったSFというわけではないとは思うんですが、小うるさいファンをも黙らせる画力と作 […]

  • 2019.03.25

ちいさなのんちゃん

1999年初版 永野のりこアスペクトコミックス 「GOD SAVE THE すげこまくん」や「電波オデッセイ」で名を馳せた作者の、実体験をもとにした育児エッセイ。 普通に可愛くて微笑ましいです。 初めて子供を授かったお母さんの混乱ぶりやドタバタは読んでて楽しいですし、のんちゃんの幼いがゆえの奇行もくすり、とさせられる。 けどまあ、これはどっちかというと同じお母さんや女性向けな気もしますね。 もとも […]

  • 2019.03.16

ハンニャハラミタ

1994~2005年初出 駕籠真太郎集英社ヤングジャンプコミックス <収録短編>仰ゲバと尊しDEMON SEEDハンニャハラミタ動物の王国atraxia飛んで目に入る夏の虫尻尾考 エログロカルト漫画家として有名な作者の、SF系の作品を集めた短編集。 各作品の発表年に10年近い開きがあるんで、初期の短編はまるで別人な絵柄でちょっととっつきにくいです。 総じて90年代に発表されたものは、中途半端にSF […]

  • 2019.03.14

アジア夜話

1992年初出 仲能健児エンターブレインビームコミックス モーニングパーティーに連載された「インドにて」を中心に、01年以降コミックビームに掲載された短編6篇を付け加えたもの。 初期の作品はおおむねエッセイ漫画と言っていいのでは、と思います。 もちろん脚色はあるんでしょうが、作者が実際にインドを旅してみて出会った人々、感じたことを脈絡なくつらつらと綴った感じ。 バックパッカーの視点ならではの、怪し […]

  • 2019.03.08

うずまき

1998年初出 伊藤潤二小学館スピリッツ怪奇コミックス 全3巻 伊藤潤二はどちらかと言えば短編作家ではないか、と私は思ってるんですが、そんな作者の長編唯一の成功例がこの作品ではないか、と。 「うずまき」をテーマに連作する、と言う形を取ったことも幸いしたのかもしれませんが、ちゃんとストーリーが出来事とともに推移していって、最後には収束していることにかなり驚かされましたね。 いやね、伊藤潤二って、どう […]

  • 2019.03.08

富江 again(part3)

1999年初出 伊藤潤二朝日ソノラマ眠れぬ夜の奇妙な話コミックス なんでタイトルが富江part3になってるのか当時は困惑したんですが、おそらく、最初に単行本化されたハロウィン少女コミック館を底本として再編集された、伊藤潤二マンガコレクション全16巻が「富江」「富江part2」のタイトルで発刊されたから、なんでしょうね。 昔から作者を追ってるファンとしちゃあ、思わず1と2を探しそうになってしまうわけ […]

  • 2019.03.06

トンネル奇譚

1997年初出 伊藤潤二朝日ソノラマ眠れぬ夜の奇妙な話コミックス <収録短編>長い夢トンネル奇譚銅像浮遊物白砂村血譚 さて今回も絶好調、伊藤潤二。 収録されている5編、どれも甲乙つけがたい出来でハズレ無し。 個人的に一番気に入ったのは、日に日に見る夢が長くなる男を描いた「長い夢」。 普通に眠っているだけなのに、夢の中では数百年、数千年が経過していて、それはやがて永遠の夢に至る、という発想がもう、こ […]

  • 2019.03.06

怪奇カンヅメ

1993~96年初出 伊藤潤二朝日ソノラマ眠れぬ夜の奇妙な話コミックス <収録短編>仲間の家なめくじ少女隣の窓漂着物ご先祖様異常接近怪奇ひきずり兄弟◎次女の恋人怪奇ひきずり兄弟◎降霊会 これまた名作目白押しの短編集。 どれも甲乙つけがたい感じですが、傑出してるのはやはり「なめくじ少女」でしょうね。 舌がなめくじになってしまう、などというアイディアがいったいどうすれば湧いてくるのか、ほんと作者の頭の […]

  • 2019.03.06

死びとの恋わずらい

1997年初出 伊藤潤二朝日ソノラマ眠れぬ夜の奇妙な話コミックス 作者の著作の中でも数少ない長編。 街の四つ辻に忽然と現れる黒服の美少年に、近隣在住の少女たちが根こそぎ狂わされていく話ですが、ちょっと何を描きたかったのかよくわからない、ってのはあります。 四つ辻の少年を悪意の偶像として西洋風な悪魔奇譚に仕立て上げたかったのか、それとも単に作者流の都市伝説がやりたかったのか。 「何」で怖がらせようと […]